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『蛇笏・龍太の山河』四季の一句 福田甲子雄著 読了しました。
飯田蛇笏、龍太の境川村を中心とした、甲斐の国周辺での句を集めたものです。
写生の的確さと、心をがっしと掴みとる表現の巧みさ、そして山国の人々の暮らしを確実伝えいる点に感心しました。
6月までで感心した俳句は・・・
蛇笏
こだまする後山の雪に豆を撒く
春浅き人の会釈や山畑
いきいきと細目かがやく雛かな
笈磨れの尊き肩や二日灸
老鶴の天を忘れて水温む
脱ぎすてし人の温みや花衣
百姓のみな燈をひくく春祭
榛の実の吹きちる池や蝌蚪泳ぐ
乳をすてゝ昼月仰ぐ新樹かな
砲音の樹海をわたる雪解富士
愛着すうす黴見えし聖書かな
河鹿なきおそ月滝をてらしけり
青草をいつぱいつめしほたる籠
植ゑし田の中の巨石や忘れ笠
龍太
寒の蕗水の日向を流れけり
大寒の一戸も隠れなき故郷
八方に音捨ててゐる冬の瀧
耳そばだてて雪原を遠く見る
春猫やおしやる足にまつはりて
猫柳死者の笑顔の見える空
雪山に春の夕焼滝をなす
いきいきと三月生る雲の奥
山寺の扉に雲あそぶ彼岸かな
春の鳶寄りわかれては高みつつ
雪解谷黄の極まりの花しづか
入学児脱ぎちらしたる汗稚く
紺絣春月重く出でしかな
夜の雨ひびき蚕飼の世は去りし
山つつじ照る只中に田を墾く
月の夜は好きか嫌ひかなめくぢり
幹たたく若きてのひら夏の富士
筍の穂先にかすむ甲武信嶽
卯の花腐し山国は墓所多し
セルを着て村にひとつの店の前
柚の花はいづれの世の香ともわかず
抱く吾子も梅雨の重みといふべしや
花栗のちからかぎりに夜もにほふ
【2007/03/17 19:41】 俳句 |
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